鈴木 利子 (栃木県下都賀郡壬生町)
「もったいない、もったいないねと母から娘へ」
元にした物品 … 布団側、ジーンズの耳
作品の説明とそれにまつわる思い
幼い頃、着古された布を母がパズルのピースを埋めるように丁寧に貼り合わせて着物をこしらえてくれた。物を大切にする母の思いが私の中にも宿っているのか、捨てられていく資源に創作意欲がかき立てられた。昔はボロ織と呼ばれた裂織。横糸に裂いた布団側とジーンズの耳を織り込んだ。
私たちが毎晩使用する布団は、中身の綿は打ち直して再利用されるが、傷みのひどい布団側はゴミとなる。ジーンズの耳は、ジーンズ布地が堅くならないようにその製造過程で本布地の外側に2cm巾の捨て耳が織られるために発生する産業廃棄物であり、その量は年間で地球を2周するという。捨てられる運命にあったそれらが、時代を越えて愛される世界でたったひとつのコートに生まれ変わった。丈夫で軽くて着るほどに体に馴染む。奥深い懐かしい色合いを見ていると、亡き母との時間がよみがえるようだ。「もったいない。」「もったいないね。」と語り合う声が聞こえてくる。
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